老後の資金、子供の教育資金、住宅資金など、人生にはお金の悩みがつきもの。
とはいえ、明確な数字がなく個人個人で必要な金額も変わってくる。
一昔前であればサラリーマンの貯蓄は銀行に預ければよかった。
銀行に預ければ年利6%で増えていくため、約12年で預けた金額がノーリスクで倍になる計算だ。
年利0.002%の今では考えられない。
退職金も同じように減っている。
ピークの時と現在を比べると約1,000万円も違うのだ。
もちろん、サラリーマンにもまだまだ多くのメリットは残っている。
・毎月決まった日に給料が振り込まれる
・社会保険料の負担が少ない
・福利厚生が手厚い
・社会的信頼がある
など、守られていることもまた事実。
しかし、現状よりも給料が大きく向上することは期待できない。
そうなれば、”貯蓄”という点において、サラリーマンは自分で考えながら生きていかなくてはならない。
1.貯蓄の意識を変えることがスタート
貯蓄というとお金を貯めることをイメージするだろう。
貯蓄にはリスクがなく、必要な時にいつでも使えるお金を引き出せることがメリットである。
ただし、預けた以上に増えることはない。
果たして老後に必要な資金を貯蓄だけで賄えるのだろうか?
先に答えを伝えると、貯蓄だけでは間違いなく将来お金に困ることになる。
そうならないためには”貯蓄=お金を貯める”ではなく、”貯蓄=お金を増やしていく”に考え方をまずは変えないといけない。
とはいえ、そもそも給料が減ったのに、どうやって貯蓄をすればいいのかと悩むだろう。
そこで”貯蓄”をインターネットで検索してみる。
すると、こんな言葉が並ぶ。
「銀行で預け入れすれば、大きく増やすことはできませんが、元本を確保しながら安全に資産形成ができます。」
「投資はリスクがあるため、銀行に預ける方が安心です。」
「給与を天引きして「財形貯蓄」を利用しましょう。税制面の優遇もあります。」
日本人らしい100%防御型思考だ。
将来を見据えずに、今のお金を減らさないことだけを考えている。
これではいつまで経ってもお金の不安はなくならないし、将来必要な資金を貯蓄することも出来ない。
これが時代に適合できない人の貯蓄の考え方ともいえる。
ちなみに、こう言った言葉が並ぶ記事は銀行もしくは銀行関連の組織が書いているものばかりだ。
銀行はお金を預けてもらわないと困るため、当然銀行への預け入れを勧めるだろう。
2.投資の勘違い
お金が足りないなら副業で稼ぐしかない。
こんな思想を持っている人をよく見かける。
残念ながら順番が違う。
漠然と足りないから増やすのではなく、将来どんな生活を送りたいからいくら必要かを見極めることがスタートだ。
目的が決まってはじめて自分の貯蓄方法が見えてくる。
次にもう一つの勘違い。
これからの貯蓄には投資が必須だ。
しかし、投資は資産形成のためであり長期的な目線で考えなくてはいけない。
ここを勘違いすると投資がギャンブルにすり替わってしまう。
投資はあくまで将来に必要なお金を貯蓄するため。
一攫千金を狙うギャンブルではなく、余裕資金をどのように運用していくかを考えることが正解だ。
3.余裕資金は目の前にある
ここまでの内容で、新しい貯蓄の形を理解してもらえただろう。
では、実際にサラリーマンが資産形成するための投資についてまとめていく。
まずは余裕資金をつくること。
大前提として、生活が苦しくなる投資はやるべきではない。
奥さんや子どもがいる家庭はなおさらだ。
とはいえ、「お金がない」を口癖にしていていては、将来資金が足りなくなることは目に見えている。
そこで、今の貯蓄方法の見直しをまずは始めて欲しい。
サラリーマンが見直すべき代表的な貯蓄方法を“3つ”あげる。
1)恩恵がない銀行の定期預金
最初に少し話したが、今や銀行の金利は0.002%。
毎月2万円20年間預け入れしたとして、いくらになるか?
だいたい480万”10円”程度だろう。
20年預けてたった10円しか増えないのだ。。。
引き出す時の手数料でマイナスになってしまう。
それでもまだ銀行に預けようと思う人は、もう一度最初から読み直すことを勧める。
銀行に預けているお金は、今すぐ余裕資金として投資していこう。
2)魅力がない財形貯蓄
実は財形貯蓄で損をしているサラリーマンは非常に多い。
私の会社でも入社当時に説明を受け、よくわからないまま貯蓄を続けている人がほとんどだ。
表向きには給与天引きで貯蓄をしてくれる訳だから、すぐにお金を使ってしまう人にとっては心強い味方だろう。
しかし、これも銀行と何ら変わりない。
金利はたった0.002%程度なのだ。
会社のルールがなければ今すぐ解約して余裕資金に回すことを勧める。
「財形貯蓄は、550万円まで非課税になるからメリットがあるのでは?」
そう思っているあなたは勘違いをしている。
非課税になるのは、あくまで550万円で手に入れた利息だけ。
せいぜい10円程度の金額に税金がかかろうが雀の涙でしかない。
そんなことは気にせずに解約しよう。
住宅財形に加入している人だけが受けられる融資もあるが、正直住宅ローンで充分だと思って良い。
3)ただ加入しているだけの企業型確定拠出型年金
最近は企業が掛金を負担し、従業員自信がそのお金を運用することで、退職金が決まる企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入する企業が増えている。
導入されたときに知識なく運用商品を決めてそのままという人はここにも資金を眠らせていることになる。
企業型DCは企業がお金を払ってくれる資産運用に他ならない。
この知識が抜けていると退職時に天と地ほども受け取る金額に差が出てくる。
毎月1万円を22歳~60歳まで38年間運用したとする。
利回り1%、3%、5%でそれぞれ運用した場合に60歳で受け取る金額を見てみよう。
1%の場合 ⇒ 554万円
3%の場合 ⇒ 849万円
5%の場合 ⇒ 1,358万円
手数料なども引かれるが、1%と5%では2.5倍も差が生まれることをよく理解しておいて欲しい。
私も最初は何も考えず、リスク回避のために銀行への定期預金も組み込んでいた。
しかし、当時の利回りは1%以下。
あまりにお粗末な運用でだったと反省している。
現在は、商品を組み替えることで、9%以上の利回りとなっている。
もちろん利回りが下がる可能性もあるが、0.数%をうろうろするより間違いなく正しい行動をしていると自負している。
他にも、
・手数料がかかるATMを使わない
・携帯代金を下げる
・使っていないサブスクを解約する
・保険を見直す
など、余裕資金をつくる方法は私生活にも転がっている。
この機会に自分の支出を見直してみて欲しい。
4.大大前提の何のためにお金が必要か
ここで一度原点に戻って欲しい。
あなたはなぜお金が必要なのか?
今回は長期的にお金を残すための話が前提になっている。
わたしがお金を増やしたい背景にはこんな目標がある。
・老後に海外旅行を楽しみたい
・時間とお金に縛られない人生を送りたい
・お金がないからできないことを一つでもなくしたい
・子どもがやりたいことは全部やらせてあげたい
・自分たちの介護費用を子どもに背負わせたくない
正直、サラリーマンをいますぐ辞めたいわけでもない。
しかし、どこかのタイミングで人生を選択できる余裕は持っておきたい。
そのためにお金の勉強をしている。
お金を知らないと投資することをリスクと考えるが、わたしは資産運用を恐れてずっとお金を眠らせておくことの方がリスクだと考えている。
ぜひあなたにも、なぜお金が必要なのかを考えた上で、お金をつくるの当たっての正しいリスク管理を身につけて欲しい。
5.長い目線で資産運用を
最後に伝えておく。
余裕資金が目の前に眠っている話を今回はした。
余裕資金ができたら次にやるのは資産運用(投資)だ。
ここで忘れないで欲しいことがある。
それは、目先の利益ばかりを求めて、将来の可能性を無くさないようにということ。
「誰でも月収50万」「ブラック企業から脱サラ」「FIREは簡単にできる」こんなキャッチコピーが世の中には溢れている。
その多くは、情報弱者を狙った詐欺だと思っていい。
きっとあなたもそう思っているだろう。
しかし、お金が絡むとなぜか人は夢を見てしまう。
そして、せっかく大切につくり出したお金をなくすことになる。
そんな人を見るのはもうこりごりだ。
話を戻す。
将来を見据えた資産運用は誰でも可能だ。
特にサラリーマンであれば、毎月決まった日に給料が振り込まれるのだからそのお金を投資に回せば良い。
生活の余裕資金は必ずどこかに埋もれている。
まずは身の回りで探してみよう。
ここが資産運用のスタートライン。
自分の将来のためにマネーリテラシーを高めていこう。
ザッキー